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猫を抱いて象と泳ぐ [読書]

猫を抱いて像と泳ぐ  小川洋子   ★★★
         切ない・・・、苦しい・・・。でも、途中でやめることはできない。
         読み進むほどに私の心は底のない海に沈んでゆく。
         後には蛍の放つ光のような、ぼわんとした灯りが残った。海の底だった。
         感じたのは絶望感ではない。この灯りは何なのだろう。
         本をそばに置いて、一晩ゆっくりストーリーをたどった。
         リトル アリョーヒンになって。
         なんてかわいそうな・・・と思うのは周りの勝手な思いであって、
         実は リトル アリョーヒンはとても充実した日々の中にいた。
         愛に囲まれていた。
         ぼんやりと見えた灯りの内側は、眩いくらい輝いていたし、暗い海は
         美しい藍色の澄んだ世界だった。
         静かに静かに生きている人々の、心の内を見せてもらった気がする。
         
               
              
タグ:小川洋子
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